また、今年もランチェスター戦略学会の研究大会の時期が近づいてきた。
昨年は、以下の論点を研究しつつ、「田岡理論」について研究報告しました。
今年は、発表者では有りませんが、引き続き研究していきたいと思う。
以下は昨年、自分がランチェスター学会の代表報告者として、
取組んだ検証論点である。
1.検証論点①
・ランチェスター法則は、戦争の勝ち負けに関わる状況を客観的に
法則化したものである。
・田岡氏、斧田氏もこうした客観的法則に着目し、
これをマーケティング競争観点から解釈した。
つまり ⇒ ※このランチェスター法則(田岡理論)を競争理論に
どう位置づけるか?
(サブ論点)
①市場における企業間の競争は、1対1の戦闘ではなく、
多数の企業による顧客の奪い合いを基礎とするが、ランチェスター法則は、
1対1の戦闘を想定している。
②市場でのシェア競争には、企業の需要創造力が影響するが、
ランチェスター法則には配慮されていない。
③他の分野で開発された理論(市場細分化理論、競争地位理論)と
ランチェスター法則の解釈から生み出された戦略定石との位置づけ。
※進化の過程こそ違えど、最終的に帰結する理論は近しい関係にある。
※そこを明確にし、位置づける必要性がある?!
2.検証論点②
・ランチェスター戦略は、企業の利益極大化を追求する戦略論ではなく、
「マーケットシェアの拡大により持続可能性を高めるための戦略論」とある。
⇒つまり、利益追求を論じていない?!
(サブ論点)
①今日の競争戦略論では、マーケットが縮小していく衰退期には、
マーケットシェア拡大を追求する以外に、企業が持続可能を向上させる
ことは出来ない?!
②「市場リーダーシップ戦略」と「ニッチ戦略」とランチェスター戦略の
位置づけ及び、そこからの捉え方。
3.証論点③
・ランチェスター法則、ランチェスター戦略モデル式は、純粋な軍事理論である。
・田岡氏は、この軍事戦略論を販売戦略に持ち込み、「ランチェスター戦略」と称した。
・しかし、ランチェスター法則と戦略モデル式は、軍事戦略ではなく、
それを策定する為に用いる力の法則を数式化した純理論でもある。
つまり⇒田岡氏は、物理学の力学法則を破壊にも建設にも目的に応じて
使い分けるのと同様のスタンスで、戦闘を支配する力の法則に関する理論を
企業の競争戦略論に用いた。
用いたのは、マーケットシェア目標値の設定と、強弱に応じた戦略方針の決定
までであり、その先の具体的な戦略と戦術は、田岡氏自身が独自に考案したものである。
●端的にいってしまうと、田岡氏は、マーケットシェアを高めることが企業の生き残りの
絶対条件という結論をランチェスター法則とランチェスター戦略モデル式から読み取った?!
●その手段として3つの競争原理に従った。
●さらに結論付けると、それはナンバーワンになることに行き着く。
ここに、今日の徹底的なセグメンテーション論(ニッチ戦略)と
リーダー戦略を読み取ることが出来る。
⇒つまり、田岡氏は、世界的に見てもフロンティアと言える競争戦略の礎を築いた
第一人者といえるが、なぜそこに辿り着けたのか?
(サブ論点)
①実業界での評価は、むしろその具体的な(ナンバーワンになる為の)
実行戦術にあったといえる?!
②ここから、地域戦略や市場参入戦略(具体的には、3点攻略法、
ABC分析(戦略)や構造シェア理論、グーパーチョキ理論など)などは、
どのようにして生まれたのか?!
・・・とズラズラ書いたが、恐らく、検証論点①に集約される。
②は、シェアとROIの相関性で検証出来るだろう。
よく考えるとリーダー戦略とニッチ戦略とランチェスター戦略の捉え方も、論点①に入ってくる。
論点③は、田岡理論の要諦であり、これが他の競争戦略と
どう位置づけられるのかということになるだろう。
つまり、我々のやることは、競争戦略の進化論を紐解く作業なのかもしれない。
仮説だが、田岡先生は研究を進めていくに当たり、徐々にランチェスター法則は、
その後の実践戦術を裏付けるための手段として活用し、独自の競争戦略論を
確立していったともいえるだろう。
むしろ、その田岡氏オリジナル実践戦術こそ、ランチェスター戦略そのものであり、
偉大な功績なのだとも言い切れる。
しかし、ここは学会とはまた別の評価軸となるが。。。。
今後は、田岡先生の肉声テープや当時のレジュメなども再検証が必要といえるだろう。
他の戦略論をどの程度研究されていたのかなども含め。
※最後に個人的な関心としては、今後のランチェスター戦略の応用として、
軍事的連携、つまり、企業間におけるアライアンス(コラボレーション)などを
どのように捉え、戦略として実践していくのかを考えていきたい。
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【第3回 ランチェスター戦略研究大会のご案内】
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「競争戦略理論の諸相」
新しい会社が設立されては消えてゆく今の時代。
生き残るには、持てる能力と資源を活かし、戦略を立て実行し、
成果をあげて行くことが必要です。
「ランチェスター法則」は、状況と局面に応じた違う立場での戦略があります。
その「ランチェスター戦略」と「競争戦略とその理論構築」について
知識を深め、情報交換を行うことを目的に設立された
「ランチェスター戦略学会」の第3回大会を実施します。
経営戦略の最前線がつかめます。
一般の方でも参加できますので、どうぞ奮ってご参加下さい。
詳しくは↓
http://www.lanchester.or.jp/
■開催日:2010年11月23日(火・祝)
■場所 :明治大学 アカデミーコモンホール2階
東京都千代田区神田駿河台1-1 ℡ 03-3296-4337